表千家(おもてせんけ)

時代と共に茶風を変える表千家

茶道の中心的存在でもある、三千家の本家にあたるのが表千家です。
しかし、本家と言っても常に順風満帆に受け継がれてきたわけではありません。
表千家にも流派の生き残りをかけて苦戦した時代、茶風を変えて新しい時代に対応してきた経緯があるのです。

大名や藩主から町人へ

表千家は、もともと大名や藩主を門弟として迎え入れ、表千家流の茶道を継承してきました。
しかし、江戸時代中期頃からは大名や藩主よりも町人が力をつけるようになり、表千家の流派を守る為にも日本経済の実権を握っている人達に門弟になってもらう必要がありました。
そこで、表千家は力のある町人達を茶道の世界へと取り入れ、門弟として受け入れるようになったのです。
特に裕福層である三井家のような力のある人達を積極的に門弟として受け入れた事で、表千家は今でも健全に茶道を守り続けることが出来ているのです。
このように、伝統を守るという事は、これまでの在り方を守るだけでは守りきれないのです。
時に組織構成を変えてより力をつけていくという事も、伝統を守る為には必要だということが、茶道の世界の流れを見ていても分かるのです。

組織を変えるなら茶風も変わる必要がある

表千家が受け継いできた茶道を守るといっても、裕福層の町人を表千家の門弟に受け入れただけでは、その後の継承には繋がりません。
これまで大名や藩主が門弟となり流派を継承してきたという事は、表千家の組織自体のあり方も、茶道の指導の仕方も、町人には合わないという事なのです。
その為、表千家ではこれまでの茶風に新しい風を取り込み、町人文化を積極的に取り入れながら、より一般的に親しまれる流派へと変化していったのです。
このように、表千家は本家だからといって昔ながらの流派や思想を押し通して守ってきたわけではなく、新しい時代に合わせて柔軟に変化してきた流派でもあるのです。

時代に対応しながら守り続けてきたもの

表千家は時代に合わせて組織の在り方や茶道の在り方を変化させてきましたが、基本から全て変えてきたわけではありません。
侘びさび精神に赴きを置く思想は、どの流派よりも強固に守り続けてきた流派と言えるでしょう。
この精神は茶道具の種類を見ても分かります。
例えば、新しい事に挑戦する裏千家と比べると、表千家の茶道具は特に種類が少なく、また昔から仕様もあまり変化がありません。
組織構成や継承の仕方、多少の茶風の変化はあれど、茶道の基本部分は変えずに守り続けてきたのが、表千家の魅力と凄さでもあるのです。

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